1.6月8日深夜から9日未明にかけ、イスラマバード市郊外のGTロード沿いに位置するタルノル地区において、アフガニスタンに駐留する北大西洋条約機構(NATO)軍に補給する物資を運ぶ燃料輸送車両およびトレーラーの車列に対し、複数の過激派武装勢力が発砲した後、輸送車両数十台に放火する事件が発生しました。この襲撃により、少なくとも7人が死亡、11人が負傷した模様です。
2.アフガニスタンに駐留する米軍やNATO軍は、補給物資の多くをパキスタン経由で確保しており、物資を搬送する車列はこれまでも頻繁にタリバーンに狙われています。従来はペシャワル近郊を中心としたハイバル・パフトゥンハー州内での攻撃が一般的でしたが、今回の事件はパンジャブ州域でもそれが発生し得ることを示しています。
3.今次事件の犯行主体は、パンジャブ州を拠点とするパキスタン・タリバン運動(TTP)の傘下の組織が犯行声明を出した旨報道されており、こうした情勢を踏まえ、治安当局は厳戒態勢を敷いてセキュリティーチェックを実施していますが、引き続き過激派武装勢力による犯行の可能性は否定できません。
4.なお、報道によれば、部族地域から派遣された3人のテロリストがイスラマバード市内に所在する政府関連施設に対する自爆テロ攻撃を企図している旨の情報もあり、引き続き警戒が必要です。
ついては、在留邦人の皆様におかれては、テロ事件など不測の事態に巻き込まれることのないよう、以下の諸点につき今一度十分な注意を払い、最新の情報にも留意しつつ、慎重な行動に心掛け、個々人における安全対策・危機回避に十分注意してください。
また、「大使館からのお知らせ」にて注意喚起している内容も再度御確認ください(過去の「大使館からのお知らせ」バックナンバーは、当館HPwww.pk.emb-japan.go.jp)からも参照可能です)。
(1)テロの標的となりやすい場所(軍・警察等治安当局施設(含む車両、検問所等)、国連関係機関、政府機関、米国系有名ホテルやファースト・フード店を含む欧米関連施設、宗教関連施設)にはできる限り近づかない。また、車両等で移動する際にも、同種の場所を避けるよう心掛ける。
(2)集会やデモが行われている場所には、決して近づかない。
(3)マーケットやバス停など人が集まる場所での用事は、短時間で効率的に行なうとともに、常に周囲の状況に注意を払い、不審な状況を察知したら、速やかにその場から離れる。
(4)検問所付近に待機車両が渋滞となるケースが散見されるが、極力渋滞の多い検問所付近の通行は避ける。
(5)日頃から、自宅、勤務先等の近辺に、テロ事件の標的となり得る可能性の高い場所乃至は施設があるか、詳細を承知しておくことも重要。
(6)最近のテロ事件の傾向として、午前中から日中にかけての時間帯に事件が発生していることも多く見られることから、買い物等、外出時の行動は極力短時間とする等、十分な安全対策を講ずる。
(7)GTロードなど幹線道路であっても夜間の長距離移動は極力避け、移動にあたってはできるだけ明るい時間帯を選ぶよう注意する。その際も、トラック、デポ(多数のトラックが駐車・待機している区画)付近への立ち寄りは避ける。
以上