1 2月29日朝,カラチ市内オランギ地区において,韓国キリスト教系病院に勤務するパキスタン人職員2名が銃を持った男4人組に連れ去られるという誘拐事件が発生しました。現地警察によれば、犯人らは犯行時、出勤途中の職員2名、運転手1名が乗った車両を停車させ、「この中に韓国人はいるか。」と質問したとのことであり、このような状況から本件は韓国人を狙った犯行である可能性が高いと考えられます。
2 現在、パキスタン国内各地で誘拐等の事件が多発しており、特に最近では、以下のとおり、中国人や韓国人が被害者となる事件が発生しています。今のところ、日本人が標的とされているとの情報には接していませんが、パキスタン人にとって中国人や韓国人は日本人と見分けることが外見上難しいとされることから、間違って標的とされる可能性も否定できません。
(1)2月28日、ペシャワル市内においてパキスタン人男性と一緒にいた中国人女性が殺害された。
(2)1月16日、カラチ市内において中国人歯科医が誘拐された。
(3)昨年11月28日、カラチ市内において韓国人男性がバイクに乗った犯人に停車するよう要求され、逃走したところ発砲されて負傷した。
3 つきましては,在留邦人の皆様におかれましては,普段と何かが違うといった兆候を見逃さないことや通勤経路及び通勤時間帯を一定にしないことなど、累次お知らせしている誘拐被害防止対策(本年1月19日カラチ総領事館発出及び2月13日パキスタン大使館発出のお知らせ参照)を再度確認していただくとともに、以下の諸点について今一度十分な注意を払っていただき、最新の情報に留意しつつ、個々人における安全対策・危険回避に十分心掛けてください。また,会社や団体など組織に属する邦人の皆様は,本件につき組織内で情報共有を行ってください。
(1) 誘拐予防のためには、自らの身は自らが守る心構えを持ち、誘拐の危険度に応じた対策(通勤時の安全対策、住居の警備強化、日常行動上の注意等の総合的な対策)をとることが重要。特に海外で安全に暮らすためには、①目立たない、②用心を怠らない、③行動を予知されない、という3原則を守る。日頃から行動パターン(通勤時間、使用する道や施設)を常に変え、狙われにくくすることが大切。
(2) パキスタンで各種事業を行う場合には安全上の情報収集・分析を常に怠らないことはもちろんのこと、その事業実施の必要性とリスクを比較の上、実施するとの結果に至った場合には、事務所及び活動現場の警備を強化する等、十分な安全対策を講じる。
(3) 車両等にて長距離を移動する場合、幹線道路であってもできるだけ明るい時間帯を選ぶとともに日没後の移動は極力避ける。郊外に赴く場合には、その地域の情報に十分注意を払い、必要な場合には十分な警備体制をとる。
(4) 自宅及び勤務先の警備員に対しては、不審者の侵入を避けるため、不用意に侵入させることのないよう、来訪者に対しては必ず氏名、所属先、用件等を確認するよう徹底する。
(5) 緊急事態が発生した場合、自らの安否や所在につき家族または勤務先に至急一報することが重要。携帯電話がある場合は、日頃から携帯電話を常時携行し、家族、勤務先または大使館等の番号を予め携帯電話に番号登録しておく。
(6) 犯罪を実行する場合、犯人側は周到な準備をするのが常であり、必ず「兆候」がある。従って、周辺に対する警戒を怠らず、家族や使用人に対しても、何か日常と違う点があれば、速やかに報告させる。
(7) テロリストは身近なところに潜んでいる。目立つ行動や騒がしい行為は極力控える。