2011年8月12日金曜日

ギルギット・バルチスタン地域における発砲事件の発生に伴う注意喚起

1.昨年5月、ギルギット・バルチスタン地域(旧北方地域)において、同地域を流れるフンザ川が地滑りでせき止められたため、ゴジャール地方(上部フンザ地域)のアッタバード周辺が「湖」の様な状況となり、多くの住民が家屋を失う被害が出ました。
 今月11日、多数の住民が同地域の首席大臣に対し、大規模な災害に対する補償金の支払いを求める抗議活動を行っていた中、警察当局が抗議行動を抑えるため住民に対し発砲し、2名が死亡する事件が発生しました。

2.現地警察によれば、警察当局は状況をコントロールしている由で、現地は全体として平静を取り戻しつつある模様ですが、一部に緊迫した状況が残っているとの情報もあります。
また、ここ数日間、抗議住民がカラコルム・ハイウェイを妨害行為により閉鎖していた模様ですが、現在は通常どおり開通しているとのことです。

3.現在、パキスタン国内の主要都市において、政府への抗議、賃上交渉、計画停電への憤懣等様々な事情に起因するデモや集会が行われていますが、デモの形態によっては、参加者が暴徒化するおそれがあります。また、デモに限らず、人の多く集まる場所では常にテロの危険性が排除出来ないことから、人の多く集まる場所には絶対に近づかないよう注意してください。

4.最近の傾向として、警察署やパトカーなどの治安関係施設や聖者廟などの宗教関係施設を標的とし、その手法も自爆型、銃撃、IED(即席爆発装置)による設置型等多様化している様子が見られます。当該施設の近くや近くに駐車してある車両に爆発物を仕掛けるケースも多数発生していますので、こうした施設には絶対に近づかないでください。

5.つきましては、在留邦人の皆様におかれては、累次お知らせにてお伝えしておりますが、デモや抗議活動等に伴う騒乱やテロ事件など不測の事態に巻き込まれることのないよう、以下の諸点につき今一度十分な注意を払い、最新の情報にも留意しつつ、慎重な行動に心掛け、個々人における安全対策・危機回避に十分注意してください。

(1)テロの標的や騒乱行為のきっかけとなりやすい場所(米国系有名ホテルやファースト・フード店を含む欧米関連施設、軍・警察・裁判所等法執行機関及び治安施設(含む車両、検問所等)、宗教関連施設、国連関係機関、政府機関等)にはできる限り近づかない。また、車両等で移動する際にも、同種の場所を避けるよう心掛ける。
(2)集会やデモが行われている場所には、決して近づかない。
(3)マーケットやバス停など人が集まる場所での用事は、短時間で効率的に行なうとともに、常に周囲の状況に注意を払い、不審な状況を察知したら、速やかにその場から離れる。買い物等、外出時の行動は極力短時間とする等、十分な安全対策を講ずる。
(4)検問所付近に待機車両が渋滞となるケースが散見されるが、極力渋滞の多い検問所付近の通行は避ける。
(5)日頃から、自宅、勤務先等の近辺に、テロ事件等の標的となり得る可能性の高い場所乃至は施設があるか、詳細を承知しておくことも重要。