イスラマバード市内F6スーパーマーケットにおいて誘拐されたパキスタン人ビジネスマンが、5月21日、当地警察により保護されました。報道によれば、同氏は同マーケットにある大型書店内において、若い女性に声をかけられ外に出たのち、誘拐されたとのことです。本年に入って以降、国際赤十字委員会(ICRC)の英国人医師が誘拐殺害されたほか、1月16日、カラチ市内オランギ地区において中国人歯科医が武装グループに誘拐、さらには、1月19日、ムルタンにおいて外国人援助関係者が誘拐されるなど、国内において誘拐事件が多発しております。
そこで今一度、下記のとおり、誘拐対策について注意喚起させていただくとともに、在留邦人の皆様におかれましては、本メールを熟読の上、御家族共々、常日頃から安全対策・危険回避に万全を期してください。
記
1 はじめに
(1) 誘拐対策は、犯人との知恵比べである。どちらの備えが勝っているかで勝負がつく。
(2) その場に直面しても、沈着冷静を心掛け、行動することである。
(3) ①目立たない、②用心を怠らない、③行動を予知されない、という3原則を守る。
2 車の運転時におけるポイント
~外出時が一番危険です。原則、外出は車で。運転手にも注意喚起を~
(1) 事前準備と乗車前点検
・ 郊外に外出するときは、明るい時間帯に出発し、日没までに帰宅できるプランを立てる。
・ ガソリンは、常に半分以上にしておく。
・ 車の周囲に不審な点がないかチェックする。
・ 車の内部(特に後部座席)に不審者や不審物がないかチェックする。
・ 付近に駐車中の車に人が乗っている場合、見張りや尾行のためではないか、気をつける。
(2) 運転手に対する指導
・ 駐車中は、原則、運転手を外に置き、周囲の状況をチェックさせる。
・ 運転手が見あたらないときは、車に乗り込まない。
・ 何か異変があるときのサインを決めておく。
・ 行き先、スケジュール等は運転手に事前に伝えることは避け、原則、乗ってから告げる。
(3) 乗車中の注意
・ ルートとスケジュールのルーティン化を避ける。
・ 全てのドアをロックし、窓は閉める。
・ 事故や負傷者を装うことがあるので、これを見て車両を止めない。当然、ヒッチハイカーは乗せない。
・ 回避行動のため、できる限り道路中央を走行する。また、交差点や信号では、およそ1台分のスペースをおいて停車する。
・ 常に後方を確認し、尾行に気づいたら止まらずに、最寄りの安全な場所(警察署、警備厳重なショッピングセンター等)に避難する。
・ 避難場所がない場合、クラクション等を鳴らし続け、人の注意を引く。
(4) 到着時の注意
・ 駐車場に不審者(車)がないことを確認した後に降車する。
・ ガレージに不審者が潜まぬよう、照明やロックを厳重にする。
3 部外者対応におけるポイント
~警備員を備えている場合、同人にも注意喚起を~
・ 郵便配達や物売り等、見知らぬ者は敷地内に入れず、警備員を備えている場合は同人に対応させるとともに、必ず氏名、連絡先、用件等を確認させる。また、敷地内をランダムにパトロールさせる。
・ 常に自宅周辺に不審な者がいないか、点検を怠らない。
・ 自宅直近に車両を駐車させない。
4 自宅の安全対策上のポイント
・ 昼夜を問わず、外に面する出入口(窓はもとより、玄関や裏口等)は、補助錠とともに常に施錠しておく。自宅内については、就寝中、必ず寝室を施錠する。
・ 警備員や使用人を容易に自宅内に入れない。また、それらの者が、夜間、自宅内への出入りを求めてきた場合は、容易に応ずることなく、携帯電話等で要件を聴取すること。
・ 料理人等、やむを得ず自宅内を出入りする者がいる場合は、居住スペースとの境界を鍵等の付いた扉で仕切る等、自宅内を自由に移動させない。
5 その他
・ 警備員及び使用人にも十分注意して監督する。使用人が泥棒を敷地内に招き入れたケースや、警備員が脅されて寝室の扉を開け、誘拐犯の侵入を容易にしたケースもある。
・ 携帯電話を常時携行し、家族、勤務先または大使館等の番号を予め携帯電話に番号登録しておく。
・ 襲撃の際には、必ず「兆候」がある。常に周辺に対する警戒を怠らず、家族や使用人に対し、何か日常と違う点があれば、速やかに報告させる。
(誘拐事件の兆候例)
○ 自宅周辺に不審な人物がいる、不審な車がとまっている。
○ 覚えのない郵便物や宅配便が届く。
○ 警備員や使用人とトラブルがあった、警備員や使用人の態度がおかしい。
○ 電話に時々雑音が入る、無言電話が多い。
○ 付き合いの深くない人から、郊外への外出に誘われている。
○ 誰かに尾行される、脅迫を受ける、金銭要求を受ける。
○ 不審な警察官に質問を受ける。