1.報道によれば、パキスタン・タリバーン運動(TTP)が、7月末からパキスタン全土で発生している洪水被害に対応して行われている援助活動に参加中の外国人援助関係者を対象に、何らかのテロ攻撃を計画しているとのことです。また、TTPはパキスタンにおいて外国人援助関係者が活動することは「受け入れがたい」と主張、その上で「我々が何かについて『受けがたい』という場合、人はそれぞれ結論を引き出せばよい」と述べており、TTPが外国人の援助関係者に対する襲撃を仕掛け、暴力的手段に訴える可能性がある旨示唆している、との報道もあります。
2.上記報道に関しては、必ずしも具体的な根拠は確認されておりませんが、パキスタン全土で洪水被害が拡大している中、本件災害を機にパキスタン市民の支持を得ようとする過激派武装勢力の目標の妨げとなる外国援助関係者の活動を、同勢力がテロ攻撃等の暴力的手段を持って排除しようとする可能性は否定できません。
3.また、上記報道によると、TTPは引き続き連邦・州の閣僚や行政幹部始め当局者への攻撃を企図しており、都市部でも警戒を続ける必要があることは、従来どおりです。
4.ついては、援助関係者も含め、パキスタンに渡航・滞在されている方々は、テロ事件など不測の事態に巻き込まれることのないよう、十分に情報収集の上、必要に応じ万全な警備措置を取るようにしてください。なお、パキスタンにはこれまでも「退避を勧告します。」を含めた危険情報が発出されています。危険な地域には決して立ち入らないようご留意願います。
また、以下の諸点につき今一度十分な注意を払い、最新の情報にも留意しつつ、慎重な行動に心掛け、個々人における安全対策・危機回避に十分注意してください。
(1)テロの標的となりやすい場所(軍・警察等治安当局施設(含む車両、検問所等)、国連関係機関、政府機関、米国系有名ホテルやファースト・フード店を含む欧米関連施設、宗教関連施設)にはできる限り近づかない。また、車両等で移動する際にも、同種の場所を避けるよう心掛ける。
(2)集会やデモが行われている場所には、決して近づかない。
(3)マーケットやバス停など人が集まる場所での用事は、短時間で効率的に行なうとともに、常に周囲の状況に注意を払い、不審な状況を察知したら、速やかにその場から離れる。
(4)検問所付近に待機車両が渋滞となるケースが散見されるが、極力渋滞の多い検問所付近の通行は避ける。なお、イスラマバード外交団地区についても、同様の事態が発生しているので、入域する時期・時間等に十分注意する。
(5)日頃から、自宅、勤務先等の近辺に、テロ事件の標的となり得る可能性の高い場所乃至は施設があるか、詳細を承知しておくことも重要。
(6)空港を利用する場合、しばしばテロリストの襲撃の標的となることを念頭におき、不必要に人の多く集まる場所に近寄らない。その他、ホテルのフロントなど、不特定多数の人の立ち入りが容易なところでの滞在時間は最小限とするよう心掛ける。
(7)パキスタンの各地において誘拐事件が発生している。誘拐予防のためには、自らの身は自らが守る心構えを持ち、誘拐の危険度に応じた対策(通勤時の安全対策、住居の警備強化、日常行動上の注意等の総合的な対策)をとることが重要。特に海外で安全に暮らすためには、(イ)目立たない、(ロ)用心を怠らない、(ハ)行動を予知されない、という3原則を守る。日頃から行動パターン(通勤時間、使用する道や施設)を常に変え、ねらわれにくくすることが大切。
(8)最近のテロ事件の傾向として、午前中から日中にかけての時間帯に事件が発生していることも多く見られることから、買い物等、外出時の行動は極力短時間とする等、十分な安全対策を講ずる。
(9)テロリストは身近なところに潜んでいる。目立つ行動や騒がしい行為は極力控える。
以上