2016年1月26日火曜日

大使館からのお知らせ(感染症広域情報:狂犬病~もし咬まれたら,すぐに医療機関へ)

平成28年1月26日
在パキスタン日本国大使館
在留邦人の皆様へ

~大使館からのお知らせ~
(感染症広域情報:狂犬病~もし咬まれたら,すぐに医療機関へ)

 今般、外務省より、以下の「海外安全情報(感染症広域情報)」が発出されましたのでお知らせいたします。

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感染症広域情報

件名:狂犬病~もし咬まれたら,すぐに医療機関へ

1.狂犬病の発生状況
(1)狂犬病は日本,英国,オーストラリア, ニュージーランドなどの一部の国を除いて全世界に分布しており,ほとんどの国で感染する可能性があります。
(2)毎年,数万人が狂犬病により死亡しており、そのほとんどがアジアとアフリカで発生していますが、北米、欧州の一部地域でも感染のおそれがあります。また、狂犬病が疑われる動物に咬まれた人の40%は15歳未満の子どもです。
(3)世界各国における狂犬病の発生状況としては、狂犬病による死亡例が最も多いのはインドで約20,000人(2008年)であり、また、パキスタンでは2,490人(2006年)、中国では2,466人(2008年)の感染死亡例が発生しています。また、2013年には台湾において、野生のイタチアナグマの狂犬病の感染が確認されています。
 その他、狂犬病の発生状況については、厚生労働省のホームページもご参照ください。
 (4) 日本では狂犬病が撲滅されているため、その危険性を忘れがちですが、2006年11月に、フィリピンで犬に咬まれた日本人が帰国後に発症、死亡する事例が2例報告されました。世界各国では現在も感染者が存在する病気なので、海外に渡航、滞在される方は以下の点にご留意ください。

2.狂犬病について
(1)感染源
通常、人は、感染した動物に咬まれたり、引っ掻かれたりすることで感染します。イヌは、狂犬病の主たる宿主であり、媒介動物です。 イヌは、アジアとアフリカでは人の狂犬病の主な死亡原因となっています。
 一方で、アメリカ大陸では、コウモリがほとんどの狂犬病死亡の感染源です。 また、コウモリの狂犬病は、最近、オーストラリア、西ヨーロッパでも公衆衛生上の脅威となっています。非常に稀ですが、キツネ、アライグマ、スカンク、ジャッカル、マングースや他の野生の肉食動物種から人に狂犬病が感染し、死に至ることがあります。
 感染伝播は、感染性物質(通常は唾液)が人の粘膜や新鮮な傷に直接接触することで起こることもあります。 稀に、狂犬病はウイルスを含むエアゾールの吸入や、感染した臓器の移植を通しても感染します。狂犬病に感染している動物の生肉または他の組織の摂取は、人への感染源にはなりません。
(2)症状
狂犬病の潜伏期間は、一般的には1か月から3か月ですが、1週間未満から1年以上と幅があります。狂犬病の初発症状には、発熱、頻繁な創傷部位の痛み、説明のつかない異常なヒリヒリやチクチクする痛み、灼熱感(錯感覚)があります。ウイルスが中枢神経系に広がるにつれ、脳と脊髄に、進行性で致命的な炎症を起こします。
 この疾患には2つの病型があります。狂躁型の狂犬病では、活動性の亢進、易興奮性、恐水症状、また時に恐風症状が、現れます。数日後には、心肺停止によって死亡します。
 麻痺型の狂犬病は、人の狂犬病全体の約30%を占めます。狂躁型ほどの激烈さはなく、通常、長い経過をたどります。筋肉は、咬傷または擦過傷部位から、徐々に麻痺を生じます。昏睡が徐々に進行し、最後には死に至ります。麻痺型の狂犬病は、しばしば誤診され、疾患の過少報告につながっています。
(3)予防方法
(ア)動物にむやみに手を出さない。
   日本人は犬や猫を見ると無防備に手を出したり、撫でたり、手から直接餌を与えたりしますが、むやみに犬や猫、その他の動物に手を出さないようにしてください。他人のペットであっても要注意です。
(イ)具合の悪そうな動物には近づかない。
   狂犬病の犬は、多量のよだれを垂らし、物に咬みつく、無意味にうろうろするなど独特の行動をします。
(ウ)予防接種(暴露前接種)
   狂犬病ワクチンは国内の医療機関で接種することが可能ですが、現在、狂犬病ワクチンの在庫が減少している状況に鑑み、狂犬病の流行地域からの帰国者で犬等に咬まれた方、狂犬病の流行地域への渡航予定者で犬等に接触する可能性が高い方に優先的に接種されています。渡航、滞在先で動物を対象に活動する場合や付近に医療機関がない地域に滞在する場合には、最寄りの検疫所にご相談ください。
   狂犬病ワクチンを接種する場合は、初回接種後、30日目、6~12か月後の計3回接種します。
(4)万一動物等に咬まれた場合の対策
 狂犬病は一旦発症すれば効果的な治療法はなく、ほぼ100%の方が亡くなります。
狂犬病にかかっているおそれのある動物に咬まれてしまった場合、直ちに十分に石けんを使って水洗いをします(傷口を口で吸い出したりしない)。その後、すぐに医療機関で傷口を治療し、ワクチン接種をします。発病前であれば、ワクチンの接種は効果があると考えられていますので、必ず接種してください(破傷風トキソイドを未接種の方は狂犬病ワクチンの接種とともに、破傷風トキソイドの接種も必ず受けてください)。事前に狂犬病の予防接種を受けている場合でも、狂犬病にかかっているおそれのある動物に咬まれた場合は治療を目的としたワクチン追加接種が必要となりますので、必ず医療機関で受診してください。
 また、現地医療機関での受診の有無にかかわらず、帰国時に検疫所(健康相談室)にご相談ください。 

○参考情報:
 厚生労働省検疫所(FORTH)「感染症についての情報 狂犬病」
 国立感染症研究所感染症情報センター:狂犬病

(問い合わせ先)
○外務省領事局政策課(医療情報)
   電話:(代表)03-3580-3311(内線)2850
○外務省領事サービスセンター(海外安全担当)
   電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902
○外務省海外安全ホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/

           (携帯版)http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp