2011年5月14日土曜日

ウサマ・ビン・ラーディン殺害に対する報復テロに関する注意喚起

1.13日早朝、ハイバル・パフトゥンハー州チャルサダ郡シャブカダル地区にある辺境警察隊(FC)の訓練
施設前において、2度にわたり自爆テロが発生し、70人が死亡、115人以上が負傷するテロ事件が発生しま
した。 
 なお、本件については、パキスタン・タリバン運動(TTP)より、「ウサマ・ビン・ラーディン殺害に対する
最初の報復であり、パキスタン及びアフガニスタンに対し、更なる大規模な攻撃を続ける」旨犯行声明を出して
おり、治安の不安定化が懸念されています。

2.現在、連邦直轄部族地域(FATA)モーマンド管区等において、パキスタン政府軍による過激派武装勢力に
対する軍事掃討作戦が行われており、同軍事掃討作戦に対する報復や、その余波とみられるテロ事件がペシャワル、
マルダン、チャルサダ、スワビ、ノウシェラ等において頻発しています。

3.最近では、聖者廟などの宗教施設における宗教行事や礼拝時を狙ったテロ、外国公館などのソフトターゲットを
狙ったテロも発生しており、今後も比較的警備が手薄で狙いやすく、政治的な効果も高い施設や地域が攻撃の対象と
なる可能性は高いと言えます。
  イスラマバード市内にある聖者廟「バリー・イマーム廟」(外交団地区北方)においても、例年、5月下旬から
6月上旬(本年は5月23日から5日間)に信者による宗教行事「ウルス(聖者の命日祭)」が行われていますが、
本年は治安上の理由から、宗教行事は延期された模様です。他方、こうした時期には、昼夜を問わず多くの信者が
同廟を訪れることが予想され、2005年には同廟内にて爆弾テロが発生し、20人以上が死亡し、多数の負傷者が
生じた事件も発生していますので、同種の施設には絶対に近づかないよう心掛けてください。

4.また、ハイバル・パフトゥンハー州以外の地域であっても、上記1.のように、同州での動きと連動する形で
テロの脅威が及ぶこともあります。特に、幹線道路で同州内の作戦地域と直結している都市やその沿線に立ち入る
場合には、ハイバル・パフトゥンハー州内の情勢にも注意し、安全対策への配慮をお願いします。特に、GTロード
などの主要道付近においては、爆発物が発見される等、引き続きテロの脅威が存在しています。

5.さらに、ウサマ・ビン・ラーディン殺害を受け、過激派テロ組織が米国大使館や米国権益に対する報復テロを
敢行する可能性も否定できません。治安関係機関は外交団地区等特定の地域において厳戒態勢を敷いて警備にあたって
おり、テロ事件等の未然防止に努めていますが、こうした施設へは極力近づかないでください。
  また、パキスタンでの対テロ作戦に起因した反米行動や集会が各地で行われる可能性もありますが、こうした
不特定多数の人が集まる場所はテロ攻撃の対象となる可能性も高いことから絶対に近づかないようにしてください。

6.本件については、日本を狙った特定の脅威が存在するものではありませが、在留邦人の皆様におかれましては、
不測の事態に巻き込まれることのないよう、累次「大使館からのお知らせ」でお伝えしている以下の諸点について、
今一度十分な注意を払っていただくとともに、最新の情報に留意しつつ、個々人における安全対策・危険回避に
十分心掛けてください。

(1) テロの標的となりやすい場所(米国関連施設、米国系有名ホテルやファースト・フード店を含む欧米関連施設、
政府機関・軍・警察等治安当局施設(含む車両、検問所等)、宗教関連施設)にはできる限り近づかないでください。
外国人の多く集まる場所や外国人が多く利用する商業施設等の利用は短時間とし、長時間の滞在は極力控える。

(2)デモや集会を見かけたら絶対に近づかず、その場から速やかに回避する。

(3)マーケットやバス停など人が集まる場所での用事は、短時間で効率的に行なうとともに、常に周囲の状況に注意を
払い、不審な状況を察知したら、速やかにその場から離れてください。また、特に夜間の人が多く集まる時間帯は極力
避けるよう心掛けてください。

(4)パキスタンで各種事業を行う場合には、安全上の情報収集・分析を常に怠らないことはもちろんのこと、その事業
実施の必要性とリスクを比較の上、実施するとの結果に至った場合には、事務所及び活動現場の警備を強化する等十分な
安全対策を講じてください。

(5) 車両等にて長距離を移動される場合、幹線道路であってもできるだけ明るい時間帯を選び、日没後の移動は極力
避けることをお勧めします。その際も、トラック・デポ(多数のトラックが駐車・待機している区画)付近への立ち寄り
は避ける。
 また、郊外に赴く場合には、その地域の情報に十分注意を払い、必要な場合には、十分な警備体制をとる。

(6)テロリストは身近なところに潜んでいる。目立つ行動や騒がしい行為は極力控える。