2011年5月17日火曜日

ウサマ・ビン・ラーディン殺害に伴うテロに関する注意喚起

1 5月13日早朝、ハイバル・パフトゥンハー州チャルサダ郡シャブカダル地区にある辺境警察(Frontier Constabulary)
の訓練施設前において、2度にわたり自爆テロが発生し、約70人が死亡、115人以上が負傷しました。本事件については、
パキスタン・タリバーン(TTP)運動が、「ウサマ・ビン・ラーディン(UBL)殺害に対する最初の報復であり、パキスタン
及びアフガニスタンに対し、更なる大規模な攻撃を続ける。」旨述べたと報じられています。これまでも、パキスタン政府軍
による過激派武装勢力に対する軍事掃討作戦への報復や余波とみられるテロ事件がペシャワル、マルダン、チャルサダ、
スワビ、ノウシェラ等において頻発しているところであり、UBL殺害により、更なる治安の不安定化が懸念されています。

2 さらに、5月16日、カラチに所在するサウジアラビア総領事館の車両が武装集団に襲撃され、館員1人が死亡した旨
報じられています。この数日前の11日午後には、同総領事館においてバイクに乗った何者かが建物敷地内に手榴弾を投げ込む
というテロ事件が発生しています(死傷者なし。)。両事件の背景、犯行組織等の詳細は判明しておりませんが、UBL殺害を受け、
過激派組織が米国大使館等米国権益や外国公館に対する報復テロを敢行する可能性も否定できません。

3 また、最近では、聖者廟等宗教施設における宗教行事・礼拝を狙ったテロも発生しており、今後も比較的警備が手薄で
狙いやすく、政治的な効果も高い施設や地域が攻撃の対象となることが懸念されています。例えば、イスラマバード市内に
ある聖者廟「バリー・イマーム廟」(外交団地区北方)においては、例年、5月下旬から6月上旬(本年は5月23日から5日間)
に信者による宗教行事「ウルス(聖者の命日祭)」が行われていますが、本年は治安上の理由から延期された模様です。一方、
こうした時期には、昼夜を問わず多くの信者が同廟を訪れることが予想され、2005年には同廟内にて20人以上が死亡し、
多数の負傷者が生じる爆弾テロも発生していることから、テロの標的となる可能性があります。

4 また、テロ事件が頻発しているハイバル・パフトゥンハー州以外の地域についても、同州での動きと連動する形でテロの
脅威が及ぶことがあります。特に、同州内の作戦地域と直結している都市に通じる主要道付近においては、爆発物が発見される
等、引き続きテロの脅威が存在しています。

5 ついては、パキスタンに渡航・滞在される邦人の皆様は、不測の事態に巻き込まれることのないよう、2011年5月2日付
スポット情報(「パキスタン:ウサマ・ビン・ラーディンの殺害に伴うテロ攻撃に関する注意喚起」)も参照していただき、
以下の諸点について十分な注意を払っていただくとともに、最新の情報に留意しつつ、個々人における安全対策・危険回避に
十分心掛けてください。

(1)テロの標的となりやすい場所(米国関連施設、米国系有名ホテルやファースト・フード店を含む欧米関連施設、政府機関・
軍・警察等治安当局施設(車両、検問所等を含む。)、宗教関連施設)にはできる限り近づかない。外国人の多く集まる商業施設
等の利用は短時間とし、長時間の滞在は極力控える。

(2)デモや集会を見かけたら絶対に近づかず、その場から速やかに回避する。

(3)マーケット、バス停等人が集まる場所での用事は、短時間で効率的に行なうとともに、常に周囲の状況に注意を払い、
不審な状況を察知したら、速やかにその場から離れる。また、特に夜間の人が多く集まる時間帯は極力避ける。

(4)各種事業を行う場合には、安全上の情報収集・分析を常に怠らないことはもちろんのこと、その事業実施の必要性とリスクを
比較の上、実施するとの結果に至った場合には、事務所及び活動現場の警備を強化する等十分な安全対策を講じる。

(5)車両等にて長距離を移動する場合、幹線道路であってもできるだけ明るい時間帯を選び、日没後の移動は極力避ける。
その際も、トラック・デポ(多数のトラックが駐車・待機している区画)付近への立ち寄りは避ける。また、郊外に赴く場合には、
その地域の情報に十分注意を払い、必要な場合には、十分な警備体制をとる。特に、幹線道路でハイバル・パフトゥンハー州内の
作戦地域と直結している都市やその沿線に立ち入る場合には、同州内の情勢にも注意し、安全対策に配慮する。

(6)テロリストは身近なところに潜んでいる。目立つ行動や騒がしい行為は極力控える。
             
(問い合わせ先)
○外務省領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐に関する問い合わせ)
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)3100
○外務省領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐に関する問い合わせを除く)
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)5140
○外務省領事サービスセンター(海外安全担当)
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902
○外務省 海外安全ホームページ:
http://www.anzen.mofa.go.jp/
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (携帯版)
○在パキスタン日本国大使館
電話: (92-51)907-2500
○在カラチ日本国総領事館
電話: (92-21)3522-0800                                          以上